第一章 崩された王国

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このようになかむつまじく暮らしていた二人の元に悲しい知らせが飛び込んだ。リディアの兄であるロイド王国国王が急病で亡くなったのだ。 「兄は私をとても可愛がってくださいました。なんとしても葬儀には出席したいのです。」 「しかしリディア…」 カルティスは口ごもった。リディアは二人の初めての子供を身ごもっていたのだ。 「葬儀にも行けずに泣き暮らすほうが、旅をしてロイドへ帰るより余程体に悪いですわ。」 リディアが熱心に説き伏せたのでカルティスもようやくうなずいた。 「くれぐれも無理をしないように」 と念を押してから彼女が旅立つのを見送った。
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