第六章 東の離宮

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早めの夕食をとった後、シシーは館の女主人とサロンで紅茶を飲んでいた。もちろんエルも側に付き添っていた。 「シンシア姫の騎士がやっと決まって良かったこと。」 「見つけるのにずいぶん時間がかかってしまって。エル、こちらは私のお母様の姉。アンナおば様よ。」 エルは内心、この館が姫の身内の館だと知って驚いたが、表情を変えずに深々と頭をさげた。 「私の一の騎士。エルディアよ。」 姫は自慢気に紹介した。そしていたずらをたくらむような微笑みをうかべて、事も無げにエルに伝えた。 「おば様はギルの育ての親でもあるのよ。」 シシーのこの言葉にはさすがのエルも驚きを隠せなかった。
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