第六章 東の離宮

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「ギルディオンはフレッシャー王国の第二王子として生まれました。生まれたばかりの頃は体が弱く、長く生きられないのではと周りが心配していたほどだったのよ。そこで陛下は妃の姉。つまり私に彼を預けたの。ここは王都よりも空気がきれいで自然に囲まれているでしょう。 そして陛下のお考え通り彼は日ごとに丈夫になっていったわ。私たちは甥の世話ができるのが嬉しかったし、妹も息子の顔を見に何度も帰ってくるので頻繁に会えるようになって。あの頃のギルディオンは可愛かったわね。」 アンナ夫人がうっとりと目を閉じたのでシンシアは身を乗り出して口を挟んだ。 「見たいわおば様。絵は残っていないの?」 夫人はすぐにメイドをよんで絵を持ってこさせた。机の上にかざることができるほどの小ぶりな絵が4つと壁に飾るような大きな絵が2つだ。エルとシンシアはそろって絵をのぞきこんだ。
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