第六章 東の離宮

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「可愛い~」 シシーが悲鳴のような歓声をあげるなか、エルはじっくりと四枚の絵を観察した。 一枚目の大きな絵はまだ本当に小さな男の子の絵で細い足はまだしっかりと体を支えることができず、側に置かれた椅子に両手をつき顔だけはこちらを真っ直ぐに向いている。 透けるような瞳は薄い緑で、真っ白な肌は赤みが足りないぐらいだがその表情は病弱さを感じさせないほど明るい笑顔を浮かべている。 二枚目の小さな絵は対照的に健康的なバラ色の頬にギュッと歯をくいしばったような冷めた表情を浮かべている。エルは二枚の絵を見比べて首をかしげた。 「見て見て~」 疑問を口にする前にシシーが三枚目の絵を見せてきた。
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