第六章 東の離宮

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「この絵はギルが騎士団に入団したときに描かれたものなの。」 シシーの言葉に耳を傾けながら、エルはすいこまれるように絵を見つめていた。 少し足を開いて真っ直ぐに立ち、生真面目にじっとこちらに目を向けている。 「エルの絵も離宮で描いてもらいましょうね。」 シシーの言葉にエルは少し後ずさった。 「いや、私は別に…」 「ダメダメ、これは王宮での決まりなんだから。」 シシーは嬉しそうに指をふってみせた。 「さ、これが一番最近描かれたものね。シシーの十歳の記念に描かれた家族の肖像画。」 そこには五人の人物が描かれていた。
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