第六章 東の離宮

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「この絵はおば様に贈られていたのね。」 「そうよ。足が痛くてお祝いに行けなかったでしょう?イヴが贈ってくれたの。」 シシーは嬉しそうに絵をのぞきこんだ。 「これが一番上の兄。ジョー。ジョナス・フレッシャー。」 指し示された先には騎士の任命式典で見かけた青年が国王の横に立っている。 「隣が父様。フレッシャー王国国王。そのとなりが母様、イヴ王妃。私、そしてギル。」 絵の中のシシーはいつものニコニコ顔よりもすました、小さな微笑みをうかべている。王妃はやわらかい眼差しを姫に向け、ギルや他の男性陣は口許を引き締め真っ直ぐにこちらを見ている。 「素敵な絵ですね。」 エルは一人一人をじっくり眺めながらつぶやいた。
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