第六章 東の離宮

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「彼が探しに来なかったら私は死んでいたでしょうね。私はあまり覚えていないのだけれど…」 「私はよ~く覚えていますよ。私のおろかな行動が君を私の運命に無理矢理ひきずりこんだ。」 いつの間にいたのかロアンがアメリアの後ろに立っていた。 「ロアンさん。」 「私はただ彼女を失いたくない一心で彼女の中に自分の血を注いだ。  彼女は命をとりとめました。 初めは上手くいったと喜んでいたが… 数年経って違和感に気づいたのです。 私達は正式な血の儀式を行っていない。私が一方的に血を送っただけだったから。 にもかかわらず彼女は全く成長しない。 初めは一方的でも夫婦の契りを結んだことになって彼女がリド一族と同じ成長の仕方になったのかとも思った。 しかし、それにしても成長が遅い。私はあらゆる書物を読んで知ったんだ。 私の強すぎるリドの血が彼女の成長をとどめてしまったことを。彼女の寿命は私と変わらないしかし、成長は命が消えるその時まで止まったままなのだ。」 「止まったまま?」 「そう。死ぬまで13歳の姿のまま。」 「私は何とか解決策がないか調べて回ったが、ダメだった。 その後、正式に夫婦の契りを結んだ。それも解決策の一つだったんだが上手く行かなかったがね。」 「つまり本当は夫婦になりたくなかったのね。」 アメリアの冷たい声にロアンは珍しく慌てふためいた。 「そんなまさかアメリア。123年も連れ添ってそんなはずないだろう。」 「冗談よ。」 その言葉にロアンは再びニコニコ顔になった。
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