第六章 東の離宮

48/49
前へ
/845ページ
次へ
「結婚してから私達はずっと共に生きてきたわ。時代がどんどん移り変わるなかでロアンの血を狙う人間は不思議と途絶えなかった。だから私は彼を守ることに全力をつくすようになったの。」 「自分の妻に守られているなんて、いささか情けない気もするがね。」 二人は顔を見合わせている。ロアンは相変わらずニコニコ顔を崩さないしアメリアは無表情のままだけれど見つめ合う視線の中に強い絆が隠れているようでエルは二人をうらやましく思った。 「あなたの前にも様々な障害があるわ。でもあなたなら越えられる。だから目をそらさずにしっかりと向き合って。」 突然のアメリアの言葉にエルは戸惑った。 「それはどういう…」 しかし二人は馬車に向かい始めていてエルの問いかけに耳をかたむけていなかった。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4125人が本棚に入れています
本棚に追加