第七章 沈めた記憶

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「エルは最近何かにおびえているみたいだわ。」 セシリアのつぶやきにカイトは面白そうに書類から目をあげた。 「君が気付くなんて意外だな~」 「なによ、どういう意味」 バンッと机に両手を置くとカイトはうれしそうに顔を近づけてきた。 「君がそんなにエルを見ているなんて、妬けちゃうな。」 そっと耳元にささやかれてセシリアは顔を真っ赤にして足音も荒く出て行ってしまった。 「カイト、彼女をからかうのはよせ。」 剣を磨きながらタイタスがとがめてもカイトはニヤニヤとうれしそうに頭の後ろで腕を組み背もたれにもたれかかるばかりだ。
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