第七章 沈めた記憶

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「離宮はあまり居心地が良くないのか?エル。」 大広間でダンスの練習をするシシーを見守りながら、ニコルがエルに話しかけてきた。 離宮についてからニコルはシシーの護衛としてしばしばエルたちと行動を共にしていた。 「え?いえ、そんなことは…」 「来たばかりの頃は毎日青い顔をしていた。」 うつむいたエルの元にシシーがクルクルとターンしながら近づいてきた。 「ニコルにいじめられたの?」 シシーの言葉にニコルは無表情のまま片方の眉を器用にあげてみせた。 必死に否定しているエルをしりめにシシーはじっとニコルを見つめている。
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