第七章 沈めた記憶

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エルは体を起こしてカラスをじっと見据えた。 「びっくりした?」 得意気に羽をバタつかせるカラスのくちばしをエルはそっとつついた。 「なんだよ。」 「本物だ。」 「当たり前だ!」 「でも尻尾がカラスじゃないみたい。」 エルがすくいあげた尻尾は確かにカラスのものにしては長く垂れ下がっている。 「私の髪より長いや」 「立派な尻尾は立派なカラスの証拠さ。」 「ふ~ん」 エルは興味をなくしたように手すりから離れた。
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