第七章 沈めた記憶

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翌日の夜もカラスはやって来た。縦長の大きな窓ガラスをコツコツ叩き、エルが開けてやるとヒラリと飛び込んできて椅子の背にとまる。 「また来たの。」 「嫌そうにするこたないだろう。お前の魔力を高めるために来てんだからな。」 エルは腕組みをしてじっとカラスを見つめる。 「私の魔力と君と何の関係があるの?」 「そりゃ自分で思い出さなきゃな。」 カラスは 「カカカカァ~」 と楽しげに笑う。 「それより、昨日の宿題はちゃんと解いたのかよ」 「宿題?」 「ちゃんと思い出してみろって言っただろ?」 「ああ、あれ宿題なの。しかも今日までの。」 片手を頭にやりながらぼんやりと答える彼女にカラスはイライラしたように三回ほどジャンプしている。 「もう逃げるのはやめろ。」 「え?」 突然の真剣な言葉にエルは戸惑いがかくせなかった。
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