第七章 沈めた記憶

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「お前の気持ちはよく分かる。できれば何も知らずに生きていって欲しい。このまま自分が何者かも、どんな力を持っているかも知らずにただ幸せな人生を歩んで欲しい。でもそれはお前の気持ちであってこの子自身の気持ちではないだろ。」 エルはぼんやりとただカラスを見つめていた。曇ったような頭の中で言葉はみつからず考える機能を手放してしまっているような違和感がある。 「いい加減に子離れしろよ。」 「相変わらずだね。お前がチョロチョロし始めた時から嫌な予感がしていたよ。」 エルの口から自身が思ってもいない言葉が飛び出し、突然さっとぼんやりしていた頭が動き出した。 カラスはパッと椅子から飛び立ちその後をエルと同じ黒髪の人物が滑るように追いかけて飛び出していった。
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