第七章 沈めた記憶

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その日からエルが難しい顔をして考え込んでいる姿があちこちで目撃されるようになった。 厩舎の中で愛馬の世話をしながら、廊下を渡りながら、食事の際まで彼女は眉間にシワを寄せている。 皆が彼女のただならぬ雰囲気に驚いていたが、本人はふとした時にやって来る記憶の断片を必死に追いかけていただけだ。捕まえようとすればするほどぼんやりと見えにくくなってしまうそれにエルは手を焼いていた。
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