第七章 沈めた記憶

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「思いだし始めただろう?」 今夜もカラスがやってきた。 「今は勤務中。」 見張りに立つ兵士たちに声をかけながら肩にとまったカラスにそっとつぶやく。 「見張りに立ってるやつの見回りなんて物騒なんだな。」 「普段から気を引き締めておくため。特に今は近くに他国の国王がお忍びできているそうだから。」 「ああ、サイモンだろ。知ってるか?」 「さあ、知らない。興味もないし。」 カラスは面白そうにエルの顔をのぞきこむ。 「いつか興味を持つことになるかもしれないぜ。」 そう言われても意味が分からず、エルは軽く肩をすくめてみせた。
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