第七章 沈めた記憶

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「だが迷信深い頭の固い人間が多く存在するのも事実だ。前国王がそうだったように。 彼はギルディオン様の体が弱いことを理由に、ギルディオン様をイヴ王妃様のご実家へと移したそして、ギルディオン様を他国へ婿入りさせることを決めた。その直後にその家のご主人がお亡くなりになった。もとから病を患っていらしたのだが…そして最後に婿入りの約束を交わした王国が崩壊した。」 「王国が…崩壊?」 「そう、今は亡きラグスト王国。彼はその国に生まれるはずだった姫君と婚約していたんだ。 まぁこのように不幸が続いたせいでギルディオン様は自分が深く関わった人間は不幸になると思っていらっしゃるようなんだ。シンシア姫を除いて彼が心を開く人間に会ったことはなかった。だから驚いたんだよ。まぁ今では誰もギルディオン様の悪い噂なんて話す人はいないがね。」 ニコルはしゃべりすぎたと言ってくるりとエルに背を向け、見回りに戻って行った。
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