第七章 沈めた記憶

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「やれやれ、あふれかえっちまったか。」 暗闇から声が聞こえる。 「誰?」 やみくもに両手を前に突き出すが、その手も闇に飲み込まれていく。 バタバタと羽音がしてうでに固いものが乗る。 「うわっ!」 手を引っ込めると笑い声が聞こえた。 「もっとかわいらしい悲鳴は出せないのかね。俺だよ。俺。」 「俺って、言われても…」 「もっと目をこらして見ろ。闇はお前の得意分野なんだからな。」 エルは目を閉じたり開いたりしながら目をこらしてみた。 「やっぱり見えない。」 「スイッチを入れ替えろ。頭のスイッチを。ちゃんと覚えているはずだ。力の使い方を。」
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