第七章 沈めた記憶

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エルが彼の視線の先を見ると幼いサーシャがマントを羽織った男に抱え上げられ、悲鳴をあげている。彼の足元では幼いエルが木の棒を振り回していて、マントの男は足が地面に張り付いてしまったように動けず必死に手で棒の攻撃をかわそうとしている。 やがてサムが大人たちを連れて走ってくると男はサーシャを離し、途端に足が動くようになったのか走りだした。大人たちは大声をあげながら後を追う。 エルが急いで振り返るとカロフがそっと森の奥へ入っていくところだった。 後を追おうとすると 「おい、エル。待てよ。」 と声がした。 振り返るとサムがこちらに歩いてくる。
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