第七章 沈めた記憶

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「何?」 エルが口を開く前に後ろから声がして、少年がエルの体を通り過ぎた。 「なんであんな奴らの言いなりになるんだよ!」 驚きのあまり地面に座り込んだエルはイライラした様子のサムと平然と向かい合う自身の姿を見つめていた。 「別に…」 「なんだよ、別にって!」 ア然としている彼女の前にサッとカラスが舞い降りた。 「ああ、クロ…なんだっけ。まぁいいや。これ、どうなってるの?」 「ちょっと、名前を忘れときながら俺から聞き出そうってのか?」 カラスはふんがいしたように地面を跳ねまわる。 「それどころじゃないもん。」 エルの言葉にがっかりしたように羽を垂れる。 「クロシェーヌだよ。覚えろ。バーカ。」
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