第七章 沈めた記憶

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「私、忘れてる?」 「そう、人より多い7歳の記憶があるんだよ。いちど沈め、忘れられたその記憶を拾いにちょっくらお前の記憶の中へとやって来たわけだな。」 クロは一人で納得している。 「沈めた記憶?誰が沈めたの?」 「お前だよ!と言いたいとこだけど、違うんだな~」 クロは再び肩の上にとまる。 「自分の目で確かめるのが一番だよな。」 突然辺りが暗くなった。青空のかわりに星空が太陽のかわりに満月が姿を現した。 「やっぱ、やめたほうがいいんじゃないの?」 聞き慣れたガラガラ声が泉から聞こえる。 「なによクロス。怖いの?じゃあ一人でお部屋に戻っていたら?」 「そうじゃないけどよう。いきなり降霊術はやばいんじゃないかエル?」 「うまくいくかわからないけど、お父様かお母様、どちらか一人ぐらいはいけるはずだもん。」 幼いエルは一人と二羽に見守られているとも知らずにせっせとロウソクを並べている。
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