第七章 沈めた記憶

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ガラガラ声がひびきわたるのと、水がふき上がったのは同時だった。 大きな噴水のように高く上がるみずの向こう側に人影が見える。 目を開いた少女はそれを見て歓声をあげた。 「やった~うまくいったよ。クロス。」 だがカラスは体が凍りついたかのようにギュッとこわばらせながら小さな声で繰り返す。 「ヤバいよ…、ヤバいよ、ヤバいよ。これは。」 カラスの言葉に少女はくびをかしげる。 「どうして、折角うまくいったのに。ねえ、出てきてちょうだい。」 水の向こう側にいる人に向かって叫んだ。
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