第七章 沈めた記憶

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「クロス、どうしよう。声が聞こえるの。 憎いって、王国を滅ぼした奴が憎いって。殺しに行こう、滅ぼしに行こう、我等の王国を取り戻そうって。苦しい、痛い、同じ目に遭わせてやる。 どうしよう…私もやらないといけないんだ。」 「聞くなエル!サラの言葉を思い出せ。お前は復讐のために生まれたわけじゃない。」 「でも…私は、」 「ダメだ!聞くんじゃない。」 兵士たちは今や二人と二羽を取り囲んでいる。 エルは震える少女を後ろから優しく抱きしめるようにした。 「彼らを解放しなさい。あなたには分かっているはず。そのやり方が思い出せるはず。」 しかし少女はうつむいて震えるばかりだ。エルが助けを求めるようにカラスを見ると彼女は黙ってうなずき、水柱の方を見るように促した。
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