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突然、辺りに重々しい鐘の音が響き渡った。
兵士たちはビクッと体をこわばらせ、ゆっくりとエルたちから離れ水柱を見つめる。
「そなたたち、その娘が何者か分かっているのであろうな?」
あまりに厳しい声に思わずエルも身を縮めた。
ぼんやりとした表情だった兵士たちも心なしか背筋を伸ばして直立している。それでも一定の間隔をおいてエルの側から離れようとはしない。そのことが怒りをかったようだ。
黒く長い髪をはためかせながらその人物は姿を現した。
「良いか!私の孫娘に気安く近づくでない!」
美しい娘と言っていい年頃の女性が手に持っている黒い杖で地面をドンと突くとまた鐘の音が響き渡り、兵士たちの姿が揺らめいた。
「即刻この場から立ち去れ。時がくればまた呼び集まることもある。期が熟していないのは彼女を一目見れば分かるはずだ。」
細く長い杖が水柱に触れると兵士たちは己の意志に関わらず皆吸い込まれていった。
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