第七章 沈めた記憶

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辺りは突然静かになった。その時になって初めてエルは幼い自分と同様に自身にも兵士たちの声が聞こえていたことに気がついた。 二人と二羽は呆然としながら女性を見上げた。 女性はまさに女神のような微笑みを浮かべながら幼い少女に手を差し延べた。 おずおずと差し出された小さな手をさっと握ると少女を立たせ、抱きしめる。 「おばあ…さま?」 少女の問い掛けに答えずに女性はゆっくりと彼女の頭をなでた。 「あなたは、自分の力を分かっていない。危険だわ…私の愛しい孫娘。」
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