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少女は女神の腕の中でぐったりと力を失い、カラスが急いで彼女の肩にとまった。
「この子は周りが思っているより強い魔力を持っているわ。そのことに本人も気づいていない。」
少女の頭になお手を伸ばしながら女神はつぶやき、カラスは黒い翼を広げてその手を遠ざけようとした。
「これは避けられないこと。彼女の今夜の魔法は奴らも気づくはず。彼女を守るためにも身元が知れる記憶は全て取り除きます。」
美しい手がカラスの翼をのけて少女の額に置かれた。
「待てよ、それって俺のことも忘れちまうってことか?」
彼女は完璧な微笑みをうかべてうなずいた。
「そんな…」
見ていて痛々しいほどうちひしがれた様子のカラスをあいているほうの手ですくいあげる。
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