第七章 沈めた記憶

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「お前には仮の姿を与えよう。この子を守って行けるように。」 いうが早いかカラスを水柱の中へ放り込んだ。 カラスはまるで黒いボールのように水の中へ吸い込まれていった。 「さて…」 カラスを見送ってから向き直り、両手を少女の額に当てると小さな光りをすくいとった。 そしてくるりと振り返ると固唾を飲んで見守っているエルたちのもとへと歩いてくる。彼女が近づくごとに景色や幼いエルの姿が消えていく。 「エルディア、受け取りなさい。あなたの記憶です。」 エルの目の前に輝く両手を差し出したが、エルは驚きのあまり返事も出来ずに彼女をみあげた。
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