第一章 崩された王国

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周りにいた侍女たちも代わる代わるに生まれたばかりの姫を抱き上げた。最後にサラが姫を連れだし、リディアを休ませようとしたが 「待って、もう少し抱いていたいわ。」 リディアがベッドから起き上がり言った。 「だが、君は少し休まなければ…」 「お願いよ、サラ。あと少しだけ。」 カルティスの心配そうな声が聞こえないようにリディアはサラに両手をさしのべた。 「分かりました。」 サラは渋々といった様子でリディアの腕に赤ん坊を渡したが、この事を後に深く感謝することになる。 しかし、今の彼女がそれを知る訳もなく部屋にはただ幸福な時間が流れていた。
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