第一章 崩された王国

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侍女たちはカルティスとリディアを残して部屋を出たが、サラだけは続きの間に残って片付けをしていた。 部屋では二人が姫をはさんで見つめあい喜びをかみしめていた。 サラは二人が小さな声でささやきかわしているのを見ながら嬉しいため息をついた。 「サイモン様のことがなければもっと心の底から喜びに浸れるのに」 ため息のあとそうつぶやいた。 サラのつぶやいた言葉がまるで呪文であったかのように王都の北側から影が忍び寄りはじめていた。
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