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「ラグスト国王、リディア自身に自国の兵を手にかけさせるなど、よくもそんな恐ろしいことを…
リディア。助けに来たんだ。おいで、一緒に帰ろう。」
サイモンが差し出した手をじっと見ながらリディアは後退る
「叔父様。助けるなどという言葉は間違っています。
私は十数年も前からこの地にやってくることを、カルティス様の元に嫁ぐことを夢見ていたんですもの。」
「リディア、この場に立ってもまだ本心を偽ることはない。
おいで、お前がこの国が好きなのは分かった。
ご覧、間もなく私の手に入る。それに私はロイドの王冠も手に入れた。
そなたは二つの王国の妃になれるのだ。」
「叔父様、私が欲しいのは国ではありません。私がこの国が好きなのはカルティス様がいらっしゃるから。
私が欲しいのはカルティスさまと共に平和を築き上げるはずだったラグスト王国です。
私が、欲しかったのは、愛する人と愛する国と私たちの子供だけだったのに。」
「そんな、リディア。」
サイモンはリディアの手をつかもうとしたがカルティスがさっとリディアを隠した。
「叔父様、どうかわかってください。あなたにも愛する国があるでしょう?」
しかしサイモンはもう聞いていなかった。カルティスに憎しみの炎を燃え上がらせ剣を向けた。
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