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「お前がリディアをたぶらかした。お前の中に流れる魔女の血がリディアの考えをくもらせたのだな!」
「ばかな、何を言っているんだ。」
カルティスは狂ったように剣を叩きつけてくるサイモンを必死にかわす。
「やめてください。叔父様」
リディアが二人を止めようと間に入った時、サイモンの剣が深くカルティスの胸を貫いた。
「カルティス!」
リディアの悲鳴はその場にいた全ての兵士の動きを止めるほど悲痛に響き渡った。
カルティスは剣が刺さったまま地面にうずくまりリディアは隣にしゃがみこんでカルティスを抱きしめた。
「リディア、逃げろ。このままでは君は捕まってしまう。」
カルティスは苦しげに息をしながら言った。
リディアはその言葉が聞こえていないかのように立ち上がり、サイモンを睨み付けると隠し持っていた短剣をふりおろした。
「リ、リディア」
剣はサイモンの左目を傷つけ、その目を押さえながらサイモンは後ずさった。
前方にいたロイドの兵士たちがリディアに弓と剣を向けた。サイモンがそれをあわてて止めたがリディアはすでにいくつもの傷をおっていた。
「サイモン陛下、火の手が近づいております。ひとまずこの場を…」
「リディア、誰かリディアを一緒に連れて行け。」
サイモンは兵士に抱えられるようにしていなくなった。
「姫さま。」
武器を向けなかった兵士の一人が悲しそうにリディアに手を差しのべた。
「私はもう動けません。サイモンに伝えなさい。
あなたが何をしたか、よく思いしれと。
私が愛した人、愛する国、生まれたばかりの我が子まで壊し去ったことを決して許さないと。」
リディアの怒りに燃える青い瞳を見て兵士は震えあがりその場を立ち去った。
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