第二章 姫君の行方

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朝の光がゆっくりと差し込み大きく広がる牧場を照らし始めた。早起きのニワトリの鳴き声に一人の少女が目を覚ます。 「ふぁ~あ。」 大きくあくびをしてからベルを鳴らしメイドを呼ぶ。 「おはようございます。お嬢様。」 「今日はなんだか学校へ行きたくないわ。」 少女の言葉にメイドは顔をしかめた。 「そのようなことをおっしゃらずに…」 しかし少女はメイドの声が耳に入っていないかのように窓から身を乗り出した。 「エル~おはよう。」 窓の外にはシャツにズボン姿の少年がバケツを二つ持って水汲みへ向かっている。少年はかぶっていた帽子を脱いで少女にお辞儀をするとスタスタと泉のほうへ歩いて行ってしまった。 「今日の朝食は何?早くしなければ学校へ遅れてしまうわ。」
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