第二章 姫君の行方

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「よう、エルおはよう。」 「おはよう。サム」 サミュエルは同級生で幼なじみのエルディアを淡白な変わり者だと思っている。 まだサーシャたちがカシュア家にやって来る前、カシュア家当主が生きていた頃はエルディアは当主の孫娘としてそれは大切に育てられていた。 その頃はいつも美しいドレスを着せられて歌を歌えば鳥のよう、ダンスを踊れば蝶のようともてはやされていた。 それが当主が亡くなり、母親であるサラが病に倒れると妹のサンドラが娘を連れて乗り込み、自らをカシュア家当主代理として乗っ取ってしまったのだ。 「お前は姉さんがどこの誰とも知れない相手と作った子だろう」 サンドラはサラがベッドから出てこられないのをいいことにエルディアからドレスなどの贅沢な品や部屋をうばい、それでもあきたらず美しいと評判高い黒髪をバッサリと切らせてしまった。
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