第二章 姫君の行方

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普通ならば落ち込んでひねくれるか、我が身の哀れを嘆き悲しむだろうがエルディアは新しい環境に見事に適応してみせた。サンドラが男者の服しか与えなくてもそれをサラリと着こなし、水汲みなどの力仕事を与えられてもいやがらずに黙々とこなし今では立派な少年となってしまった。 「お前さ、あんまり物に執着とかないよな。」 サムの突然の言葉にエルは首をかしげた。 「何?突然。」 「いや、ふと思っただけ。」 エルはまた首をかしげながら席についた。 聞けば彼女にだって言い分はあるだろう。サーシャの付き人のような振る舞いをしているのだって、そうしなければこの学校にすら通わせないとサンドラに言い渡されたのだ。
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