第二章 姫君の行方

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「エルディア、何故ドレスを着ないの?」 サラの部屋を訪れるたびにきかれるので、エルは困ってしまった。 「何故ならサンドラおば様にとりあげられたからです。」 とはとても言えない。サラはサンドラをとても信頼しているし、サンドラもサラを崇拝しているといっていいだろう。 「ドレスは動きにくくて武術の練習には邪魔になるのです。」 いつもこう答えていたが、悲しそうな顔になるサラを見るのがつらかった。 だから最近はサーシャが着なくなったりひどい汚れがついてしまった服に刺繍をしたり、ひだかざりをつけたりして直して着ている。 サラのもとへ行くときだけとはいってもそれはやはり気分のいいことではなかったが、サラの悲しそうな顔を見るよりはましだった。
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