第二章 姫君の行方

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「エル、今日もお姫さまを送り出してから練習か?」 「うん。町会警備団のスカウトがちらほら覗きにきてるからね。」 エルは毎日学校が終わるとサーシャを馬車に乗せて見送ってから武術の稽古に出ているのだ。 「エルは今年の剣術大会と馬術大会で優勝してるし、もう声がかかってるのかと思ってたよ」 「まぁ、女だからね。実際に見ないと皆信用しないんだよ。魔法がらみじゃないかと疑われたりね。」 エルは半年後に卒業をひかえているので、このまま家で働かされるよりは外に働きに出たいと考えているのだ。 しかし、良家の娘が働きに出ても悪評がたたないのは国に仕える仕事ぐらいで、特にサラのように姫君専属のメイドなどはすばらしい名誉とされている。 エルの場合、そんな名誉を手にいれそうになったら瞬く間にサンドラに奪われてしまうだろう。 エルが狙っているのは国が募集している警備、護衛の仕事だ。 これならば文句を言われることもなく、サンドラたちに邪魔される心配もない。 町会警備団に入団できればサラのそばにいることもできる。
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