第二章 姫君の行方

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しかし結局この日は練習に出ることができなかった。学校が終わり、サーシャを馬車に乗せて見送り学校へもどるとエルのクラスの担任が顔色を変えて飛び出してきたのだ。 「エル!お前帰ったんじゃなかったのか。」 「はあ、これから剣術の練習が…」 「早く帰りなさい。お母様の容態が…」 エルは最後まできかずに飛び出した。 外にはちょうど帰ろうとしているサムが馬を引いていて 「サム、悪い。ちょっと貸して。」 エルはひったくるように手綱をとると軽々と馬の背にまたがり走り去った。 サムは立ち上る土煙の中に呆然と立ち尽くした。
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