第二章 姫君の行方

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「いや、お嬢さんがあんまりつらそうに泣いていらっしゃるからお節介だとは思ったのですがお声をかけさせていただきました。」 エルは恥ずかしそうに顔を赤らめた。滅多に泣いたりしないのにそれを人に見られていたのが恥ずかしかったのだ。 何も答えないエルに気を悪くした様子もなく老人はさらさらとわきだす泉に目をやった。 「人は不思議なもので水が流れる音や澄みきったその姿を見ると心にしまい込んだ悲しみや感情をさらけ出してしまうことがあるものです。水は何も言いませんし何か答えが見つかるわけでもないですが、ただ聞いてくれている。するとなにやら洗われたようにスッキリするんですよ。」
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