第三章 王宮へ

2/34
前へ
/844ページ
次へ
(なんていい子に育ってくれたのだろう。) パタンと静かに閉まったドアを見つめながらサラは思った。 この腕に抱き締めて燃え盛る城から逃れたのはまるで昨日のことのようだ。 しかし、あの頃のように自由には動かなくなった体を思うと心がしめつけられる。 サラには分かっていた。自分の体が父親と同じ病にむしばまれていることが。もう残された時間が少ないことが (私が死んでしまったらエルディアは、エルディアさまは今はなきラグスト王家の唯一の生き残りだと知っているものがいなくなってしまう)
/844ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4125人が本棚に入れています
本棚に追加