第三章 王宮へ

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「私は姫君が強く育ってくださったと感心していました。まぁ時にいきすぎた仕打ちをされているときにはこっそりと手助けをしたり仕返しをしたりしていましたがね」 そして少年のように笑って見せた。 「まぁ。」 サラも微笑もうとしたが、再びひどい咳が止まらなくなってしまった。 「サラ嬢」 カロフはまた水を飲ませて背中をさすった。 「サラ嬢。私こそあなたに怒られて当然なのですよ。」 落ち着いてきたサラにカロフは悲しそうに話しかける。 「私はあなたを救う手段を持ちながらそれをしようとしなかった。私は恨まれてもしかたがない。」 「あなたが今日、いらした時に何となく分かりました。」 サラはうなだれるカロフに優しく微笑みながら語りかけた。 「今まで身を潜めていたあなたが来てくださるほどに私に残された時間はみじかいのだと。」 カロフはサラの両手をしっかりと握りしめた。
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