第三章 王宮へ

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「あの馬は頭のいい、良い馬だろう?」 カロフは動揺しているエルに微笑みかける。 「お母様。この方と知り合いなの?」 「ええ、もちろん。」 「私はサラの婚約者だよ。いや、正しく言えば婚約者になる。かな」 カロフの言葉にエルは大きく目を見開いて固まった。 「私の何十年間の片想いがようやく実を結んだのよ。」 サラのほがらかな声にエルはさらに言葉を失った。 「驚くのも無理はない。彼女と私の年の差は親子以上に離れているのだから。」 「そんな言い方はずるいわ。魔力持ちの年の数え方は普通とは違うもの。」 「魔力持ち?」 エルは新たな衝撃でやっと話す力を取り戻した。 「カロフ様はあなたのお祖父様の親友であり、あなたのおばあさまのお兄様でもあるのよ。」 「つまり、あなたは私の伯父様?」 「そういうことになりますな。」 エルは目を白黒させながらサラとカロフを交互に見つめる。
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