第三章 王宮へ

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エルはしばらく言葉を探していたが、やがて口をひらいた。 「血の繋がった伯父様がお母様と結婚するということは…お母様は私のおば様になるのね。」 エルはサラに抱きついてよろこんだ。 幼い頃から自分は実の母親ではないと打ち明けられていたが、エルはサラを母親ではないと思ったことなど一度もない。しかし、血の繋がりのない絆がいつかはもろくなってしまうのではと不安に思っていたのも事実なのだ。 エルに抱きつかれて嬉しそうに微笑んでいたサラは再び咳き込み始めた。 「大丈夫かい、サラ?」 背中をさすりながらカロフはエルにいくつか物を持ってきてくれるように頼んだ。
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