第三章 王宮へ

21/34
前へ
/844ページ
次へ
その声はまるで風のように、流れる水のように、とどまることなく流れ、不思議な余韻をのこす。 エルは少し離れた場所からひざまずく二人をながめていたが、ふっと後ろに誰かが立っているような気配を感じた。しかし動くことはできない。不思議に思いながらも二人を見守ることしかできなかった。 「誓いの儀式を…」 カロフはおもむろにナイフを取り出して自分とサラの左手の中指を小さくついた。 二人の指から真っ赤な血がふくらみでて、二人はその血を紙の上に押し付けた。つづいてカロフは二人の手のひらをナイフで一文字に切り、その傷口をピッタリと合わせた。
/844ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4125人が本棚に入れています
本棚に追加