第三章 王宮へ

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「ようこそセリス城へ。招待状を見せていただけますか?」 うとうとしていたエルはこの声に飛び起きた。御者が門番に何かを見せると、いやにあらたまって中へ通してくれた。エルは不思議に思いながらも始めて入った城の庭園に見とれている。 やがて馬車が止まると扉が開かれ、エルは恐る恐る馬車から降りた。 辺りは昼間のように明るくたくさんの人が行き交っている。 (証書を届けると軽く引き受けたけど、ここからどうすればいいのか全くわからないな。) エルが途方にくれたように輝く城を見上げていると城の家来の一人がまっすぐにエルの元へ近づいてきた。 「ご用件はあちらから伺いました。ご案内いたします。」 エルは驚いて示された方をみると御者が軽く帽子に触れてうなずいて見せた。 お礼を言ってから家来のあとについていくと賑やかな広間ではなく、静かな別棟へと入っていく。
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