第三章 王宮へ

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「このハンカチをどこで手に入れた。」 エルはさすがに腹がたって騎士に歩みよった。 「人を泥棒のようにいわないで、それは城に向かう途中の森で拾ったのよ。いとこが落としたものだと思って拾ったの!さっきから飛び込んできたと思ったら人に剣を向けたり泥棒あつかいしたり。いくら城の人間だからって無礼にもほどがある。」 「しかし姫の泣き声が聞こえて飛び込んだらお前がいたんだ。警戒して当然だろう。」 「姫?」 エルはじっと女の子を見た。騎士の後ろに隠れていた女の子は顔だけだして笑って見せた。 金色の長い巻き毛を2つ結びにして水色のドレスと揃いのリボンを結んでいる。くるくる変わる表情の中で水色の瞳だけは変わらずにキラキラと輝いていた。 「おや、姫様。こちらにいらしたのですか。」 沈黙を破って入ってきた男性はこの部屋の異様な空気にも気づいていないようにエルに目を止めた。 「お待たせして申し訳ありませんでしたエルディア嬢。どうぞお座りください。」
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