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「私はお腹にこの子が出来てから毎日通ってるの。結婚当初からここの事を知ってたらもっと早くから通ってたかも。」
そしてルタに近づき肩をポンポンと叩いた。
「あら、でも貴女すごく綺麗だから祈る必要なんてなさそうだけど。
若いし、きっと貴女に似た綺麗な子を授かるわよ。新婚の頃って色々不安もあるからここへ来たくなる気持ちも分かるけどね。頑張って。」
そしてルタとケンに笑顔を見せて出て行った。
ケンは黙ってルタがテーブルに近づきジッと箱を見つめているのを見守る。
やがて隣の家から慌ただしい音がしだし、ルタは首を振りながらようやくテーブルの側を離れ扉に手をかけて開いた。
「おはようございます。やはりルタ様でしたか。」
外から声が聞こえてケンも急いでルタに続いて外へ出る。
老人から子供まで様々な年齢の男女が数十人背筋を伸ばし多少緊張した様子で立っていた。
「どうも皆さん、お久しぶり。」
ルタはあまり感情のこもらない様子で答え彼らを見回した。
「久しぶりに来てみたら我が家が祈りの場になっていて驚きました。」
皆の表情が青ざめ、杖をついた老女が娘に付き添われながら前に出てくる。
「申し訳ありません。私の父が事情を知らない街の者にルタ様の家を我々が訪れているのを不思議に思われ、祈りに行っていると答えた噂が徐々に広がりまして。
数年前からこちらの家に祈りに訪れるとルタ様のように美しく才ある子供を授かることができ、その子は丈夫で長生きできるという話が定着してしまったのです。」
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