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薬草やらガラス瓶がたくさん並んだ店の前で慣れた様子で注文するルタをボンヤリと眺めていると背後から手が伸びてきて痛みを感じるほどの力で肩を引かれ振り返った。
「おい、何考えてんだよ。急にいなくなりやがって!」
「痛い…」
息を切らし赤い顔で怒っているジョンがそこにいた。
「痛いじゃねーよ、こっちはあちこち走り回って大変だったんだ。単独行動禁止‼︎」
ジョンの喚き声が店の中にまで届いたのかルタが嫌そうに彼らにちらっと視線を走らせる。
「店の前で騒ぐと他の人の迷惑になるだろ。声を抑えろ。」
ケンに口を手でふさがれジョンはイライラと足を踏みならしてからケンに蹴りを加えて大人しくなった。
カランっとベルの音が鳴り店員に見送られながらルタが店から出てきた。
彼女は二人を無視してさっさと歩き始める。
「こら、無視すんな!お前が元凶だろ」
ジョンが慌てて後を追いながら叫ぶとルタは振り返らずに足を早めた。
「また無視して、嫌な奴だな」
ルタの隣に並びながら言うと彼女は前を見据えたまま答えた。
「勝手に付いてくるのは構わないけど話しかけないで。あなたが連れだと思われるなんて屈辱だわ。」
ぽかんとしたジョンはさらにケンにも追い越され周りにいた人々からチラチラと哀れみの目を向けられる。
彼はグッと拳を握ると早足でケンに追いつきその肩に拳を叩きつけた。
「だから痛いって」
ケンの迷惑そうな眼差しを無視してジョンは大人しく彼と肩を並べて歩いた。
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