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外に出るとジョンが苦々しい顔をしてルタの手元に目をやる。
「こんな趣味の悪そうな店でいったい何買ったんだよ」
ケンはジョンの言葉を聞き後ろを振り返る。
所狭しと飾られた服や靴、小物類が店の外まで並んでいる。どれもどこかで見たような持つ人を選ばなそうな品ばかりでおまけに派手な看板と賑やかな音楽が店内から流れてくる。
ルタはジョンに目もくれず買ったばかりの包みを持ったままさっさと歩き始めた。
「さっさと出発しましょう。
グズグズしてたら日が暮れるじゃない。私、野宿なんて嫌ですからね。
」
「はぁ、あんたがそれ言うか?」
ジョンはまだ店の方を向いているケンの肩を押し歩き始めた。
「ケン、俺気が重いよ。お前はいいんだろうけど俺はこのお供が早く終わって欲しい。」
ケンはため息をつくジョンの横顔をじっと眺めてからルタの背中に目を向けた。
ピンと美しく伸びた背中、何の戸惑いも不安もないように見える歩みは二人を置いてぐんぐん進んでいく。
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