第十九章 魔力を持たぬ者たち

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翌日の夕方に一行は森の奥に建てられたジョナス達の元にたどり着き、ルタはすぐに彼女用に用意された天幕へ案内された。 他の者は各々、報告や休息をとりに散っていき。ジョンとケンだけがルタの天幕の側に作られた焚き火の前に残る。 さほど時をおかずにジョナス自らが気軽な様子で腹心のフィルを引き連れて姿を現した。慌てて側に着こうと近寄りかける二人を柔らかく手で制するとニッコリと微笑み自身で中にいるルタに声をかけ躊躇なく天幕の中へと足を踏み入れて行き、慣れた様子でフィルが続く。 風が木々を揺らし、焚き火がパチッとはぜる。 倒木に腰を下ろしたケンはじっと赤々と燃える火を眺め、彼の足元でジョンも同じように肩ひじをついて横たわり火を見つめつつ、ケンと彼らの背後にある天幕に意識を向けている。 万が一騒ぎが起きたらすぐさま飛び込めるように片手は剣の柄にかけられたままだ。 「静かだな。」 ジョンのつぶやきにケンは 「あぁっ」 と返事だかため息だか分からないような声をあげる。 「ジョナス様の前ではさすがの高飛車女も大人しくなるのか?」 ジョンは道中の苦労を思い出し、ヘっと吐き捨てる。
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