第十九章 魔力を持たぬ者たち

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街で買い出しを済ませ出発した日、途中の宿は一部屋しか空きがなく、同室を拒否されたジョンとケンは野宿。 その後の道中もジョンはルタに嫌味を言われてばかりいた。 「見た目が良くてもあの性格じゃな。 ずっと一緒にいたら俺、おかしくなりそうだよ。」 「もう手遅れじゃないか?」 ポツリとつぶやいた直後、足にキツイ蹴りが入りケンは顔をしかめた。 「イライラするのは分かるが前より手が早くなったんじゃないか?」 ふて腐れたように背中を向けたままのジョンに苦笑を向けながらケンが伸びをした時、後ろの天幕の空気が動いた感覚がした。 すぐさま立ち上がり姿勢を正す二人の前にフィルがヒョイっと首だけ突き出す 「お前らも入ってくれ。」 それだけ言うとすぐに頭が引っ込んだ。 ケンとジョンは顔を見合わせて小さく頷きあってから慎重に天幕の中へ入る。
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