第四章 フレッシャー王国

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キラキラと輝く光の中をエルはすべるように踊っていた。 エルの白い手をそっととってリードしているのはギルと呼ばれていた騎士だ。 (うわ~うわ~さっきは気付かなかったけど、この人すごく綺麗な顔なんだ。女性的な顔立ちなわけじゃないけど、髪も綺麗な栗色。いいな~) 「おい」 じっと見上げられているのに気付いたのか、心なし顔を赤らめている。 「なんでじろじろ見るんだ。」 「他に見るものがないから。あなたの体が大きいから視界に入るのはあなたぐらいなの」 エルの答えに騎士は顔をしかめてダンスを中断すると、広間のすみにエルを連れていった。 「ここなら他にも見るものがたくさんあるだろ」 そう言ってエルを椅子に座らせると人混みにまぎれていなくなってしまった。 「どうもご親切に。」 エルは騎士が消えた辺りに声をかけてホッとため息をついた。
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